なにがあっても全部ネタだよね。

18歳女子が韓国に留学しながらいろんなものを観察してみる

韓国留学日記「証明写真を撮る」

  韓国の語学学校に送る顔写真を撮りに来た。スーパーの横とかにある小さい箱のような証明写真機だ。近所にはスーパーがいくつかあったので、どこの写真機で撮ろうか少し迷ったが、一番近所にあるスーパーの写真機の名前が「ki-re-i」という、いかにもきれいに撮ってくれそうな明快な名前をしていたのでとりあえずそこにした。

 中に入ると箱が喋りだした。写真の種類を選べというのだが、一つは普通モードというごくごく普通の証明写真で、もう一つは「ki-re-i Excellent」という普通のやつよりも綺麗に撮ってくれるものだった。なんと、このki-re-i excellentは、肌のきめを整え、シミ、クマ、ヒゲまで補正してくれるというではないか。

 

ただし、こっちの方が百円高く、九百円だった。百円は惜しいが、どうせだったらexcellentでki-re-iな写真を送りたいと思いexcellentモードを選んだ。しかし同時に、どうせki-re-iだなんてあからさまな名前を付けたんだからだから、基本設定でexcellentにしてくれよと思い、なんだかki-re-iという名前も考えてみたらなんかダサいなとまで思えてきた。百円の恨みは怖い。
 モードを選択した後は、写真のサイズを選択しろという。しかし、語学学校に指定されたサイズがないのだ!語学学校から指定されたサイズは縦三センチ、横四センチの横長のやつだ。しかしその選択肢の中に横長のものなど一つもない。そもそも私だって横長の顔写真など見たことがない。お国が変われば証明写真の形も変わるのか、オー!カルチャーショーック!と私は写真機の中で頭が真っ白になったが、とりあえず撮らなくてはいけない。でもサイズがないんじゃなあと困っていた時、いや、この縦七センチ横六センチという大型のやつを小さく切ればいいんじゃないの?という名案が私の中におりてきた。私、天才!と、迷わず大型証明写真というボタンを押し、写真撮影に入った。カメラの上にある鏡で表情や髪形を確認していざ撮影。結構かわいく取れたかと思ったら、別にki-re-iでもexcellentでもない私がただそのままでてきた。片目だけ一重の瞼が寝ぼけたような顔をさらに田舎くさく演出しており、ki-re-iどころかma-zi-kaとぼそっとつぶやいた。わざわざ百円高く出したのにこれか、と思うと、さらに惜しく感じてくる百円玉である。もうこの機械は利用しないぞと心に決めたが、この機械はただ、目の前にある顔を写して印刷しただけなのである。証明写真機からはii meiwakuという一言が聞えてきたような気がした。
家に帰り、あとは写真を貼るだけになっている申請書を前にさっきの証明写真を切り始める。縦七センチ、横六センチを縦は四センチ、横は二センチも切らなくてはいけない。おっちょこちょいの私は定規で四センチと二センチをはかり、マジックで印をつけた。
 私は、あれ?と思った。たしかに私は二センチと四センチを正確に測ったはずなのだが、この調子で切ってしまうと顔しか残らないではないか。私は愕然とした。それもそのはず、大型写真だろうと小型写真だろうと、同じ写真を拡大したり小さくしているだけなのだ。本来のサイズからさらに小さく切ってしまえば顔しか残らなくなるのも当然のことだ。なんでこんなことに気が付かなかったのだろう。諦めきれない私は、一番自分がたくさん残るようにどうにか3×4センチで切ってみた。しかし、残ったのは、さっきの私の田舎くさい顔だけ。顔は切れてるし首なんてほとんど残っていない。

f:id:komoriNosako:20180109190232j:plain

 顔だけになってしまった私の証明写真を、申請書の顔写真の欄にそっと置いてみた。こんなふざけた申請書が送られてきたら。学校側の人は即効シュレッダーにかけるだろう。そして私の韓国留学という夢はおじゃんになるのだ。はい、おわた。
 写真を見ながら私は茫然とした。しかし、茫然としている場合ではない。早くこの申請書を学校に送らなくては、本当におじゃんになってしまう。でも、写真のサイズがないのだから仕方ないと途方に暮れていたところ、よくよく見たら写真のサイズは縦四センチ横三センチの縦長ではないか!このサイズは証明写真の一番基本的なものだ。何をどう見間違えて私は横長の証明写真と勘違いしたのだろう。泣く泣くもう一度、もう行くまいと心に決めたki-re-iの写真機に写真を撮りに行き、今度は普通モードで写真を撮ったのであった。

 さっきは九百円で一枚分の大型顔写真だったが、今度は八百円で基本のサイズ九枚分も出てきた。いくらでも切り間違え放題である。